ブースト制御は、回転数に対する割付マップを持ち、この目標ブーストになるように圧力センサーでモニターしたブーストと比較しながら、デューティ・ソレノイドで過給圧を制御するシステムです。つまり、目標過給圧になるようにECUがデューティ・ソレノイドバルブ(過給圧制御バルブ)を作動させ、バルブの作動に応じてターボのアクチュエーターを動かし、過給圧をコントロールします。
目標ブーストとこれに整合するデューティ比を決めることで、所望のブースト特性を実現できます。目標ブーストは、一定値ではなく回転数に応じて個別の目標値が与えられています。これは一定値に制御しようとする市販のブースト・コントローラーと大きく異なる点です。
GDB型インプレッサの場合は、4000〜4800rpmの間で1.4kg/cm2、5000rpmで1.3kg/cm2、5500rpmで1.25kg/cm2、6000rpm以上で1.2kg/cm2となるようなデューティ比としています。しかし、実際には6000rpm以上ではターボの効率が落ち始めるため6500rpm以上では1.15kg/cm2といった値になります。
レガシィは2ステージ・ツインターボ機構を採用されているため、やはりプライマリー・ターボでの最高ブースト、セカンダリー域でのブーストが回転数ごとにきめ細かく設定されています。また設定ブーストは任意の数値ではなく、ターボの容量などを考慮して決めなければなりません。レガシィ用のような小型ターボでは、容量より高いブーストに設定すると過給温度が高くなる、ターボの許容回転数をオーバーしターボの寿命を縮めるといった弊害が生じるので、じゅうぶんな検討が必要です。
※レガシィ・ターボの場合、許容回転数は19万rpmともともと高回転タイプであるため、ブーストを必要以上に高めると簡単に20万rpmを超え、軸受けはきわめて厳しい条件になります。このようにターボの許容回転数や許容過給容量、エンジンの耐久強度、燃料ポンプ容量などを総合的に検討しながら過給圧を決定する必要があります。